2017年1月22日日曜日

参拝客を出迎えた鉄道遺産

昨年12月島根県を訪れた際、出雲大社からほど近くにある廃駅跡に行ってきました。
普通、廃駅跡と言えば主要な建物が撤去され跡地の形から往年の様子に考えを巡らせるものや
建物は残っているものの別の用途に転用され当時の面影があまり感じられないものなどあります。
しかし、今回訪れた旧大社駅は1990年(平成2年)に廃止された当時の状態を留める貴重なスポットでした。

木造で立派な黒瓦が載っている、あたかも屋敷の様な大社駅のメイン駅舎。
1924年(大正13年)に出雲大社への参拝者を迎える駅舎として建設されました。

ここから列車が出なくなって既に四半世紀の時が流れていますが、手入れが行き届き今も原形を留めています。

中央の瓦には国鉄のシンボル、動輪マークがデザインされています。

建物内部も綺麗に残っており、当時の乗客の雰囲気を体験できます。

国鉄末期の雰囲気が残る出札窓口。

廃止当時の運賃表がそのまま掲げられています。

廃止当時の時刻表もそのままありました。
最盛期には大社駅から東京や大阪への直通列車も運転されていました。

中央には木製の出札窓口も保存されています。

木製の出札窓口内部には国鉄の制服や備品などを見ることが出来ます。

ホームに出てみると駅名標やラッチも残っていて正に駅構内の雰囲気。

開口部が非常に狭い精算窓口も当時を忍ばせます。

駅舎の脇には石造りの団体専用ラッチも残っていて最盛期の団体客の多さも想像されます。

かつてのホーム跡にはD51 774が置かれ、駅の雰囲気を高める存在になっています。

大社駅を見学する間、人懐っこくずっとついてきたのら猫。
駅員が居なくなった駅で観光客を出迎える役割を担っているようにも感じました。